TBSテレビ編成考査局長

 

1984年
文理学部社会学科卒業

 

東京女子大の卒業生から聞いていたこともあり、念願の寮生になり、4年間暮らしました。その茜寮も2015年に閉寮することになり、「お別れ会をしよう」とフェイスブックで呼びかけたところ、思いがけず多くの卒寮生から反応がありました。

幹事に名乗り出てくれた後輩たちは、仕事や家庭で多忙な人や、中には海外に住む人もいましたが、「自分の出来ること」を率先して引き受けて、見事な連携プレイで会を成功に導いてくれました。

この「惜しみなく人のために尽くす」これこそ東京女子大の「Service and Sacrifice」の精神ではないでしょうか。

 

学生時代は「奉仕と犠牲」という語句は大げさに感じていましたが、卒業後、テレビ局に勤めるようになって、少しずつ理解できるようになって来ました。

入社したTBSテレビでは、報道記者、情報番組のディレクターとして現場を駆け回る仕事を12年ほど。その後、人事部で採用や異動、人材開発部で社員教育などを担当しました。

取材や番組制作にかかわっていた時も、その後の管理部門でも「自分の力を発揮してチームに貢献すること」が求められました。

その一方で、チームの期待に応えようと頑張り過ぎて、心身を壊してしまう人もいます。人事部時代にカウンセリングの勉強を始めたのも、組織と自分の折り合いが上手くいかなくなった社員を少しでもサポート出来ればという思いからでした。

 

私自身も育児と仕事を両立させる中で「会社に貢献できていないのでは?」と悩むこともありました。やがて管理職になりチームを任されるようになると、貢献のかたちは一つではないことに気づきました。

育児や介護が多忙だったり、自分の健康状態が思わしくなかったり、人生には様々な時期があります。チームのメンバーが、その時々でお互いの持てる力を出し合うことの大切さを実感するようになりました。

 

現在、私は編成考査という部門の局長として、番組を放送倫理の視点から考査し、視聴者に信頼される放送を目指す役割を担っています。

一人で出来ることには限りがあります。しかし、力を合わせれば組織として大きなことが出来るようになるのです。

「Service and Sacrifice」~建物はなくなったけれども、今も私たち卒寮生の心の中にずっと在り続ける茜寮で学んだ精神だと思っています。

 

茜寮外観