株式会社 鎌倉学び舎 代表取締役

 

2003年 現代文化学部地域文化学科卒業

 

 

 

 私は現在「鎌倉学び舎」という民間の学童保育施設を経営しています。「鎌倉で育つ子どもたちが幼い頃から文化人や魅力的な職業人と深くかかわることができたら、より豊かな人生を送れるのではないか」と考え、双方にとって意味深いかかわりの場となることを願って「鎌倉学び舎」を創設しました。現在はこの仕事を主としつつ、教育研究所代表、大学の非常勤講師なども務め、講演、学会発表、書籍の執筆なども行っています。

 ライフワークとしては、仲間とともに鎌倉の大人が子どもの教育について考えるコミュニティづくりや、鎌倉近郊の保育者・教育者のための学びの場づくりを行っています。また、趣味で学んでいる短歌の師である尾崎左永子先生は東京女子大学の大先輩でもあり、貴重なご縁に感謝する日々です。

 さて、私はあえて東京女子大学を選び、入学した一人です。高校まで共学校で過ごす中で「男子がいると自分らしく生きられない」という感覚を抱いていた私は、社会に出るまでに自分らしく生きられるようになりたいと考えていました。そのためには、男子の陰に隠れることなく一人の人間として尊重される時間を過ごすのが良いのではないかと考え、女子大学の中で進学先を探しました。当時「自分の意見をしっかり持っていながら、物事をストレートに表現するのではなく、オブラートに包んで表現できるようなしなやかな女性になりたい」というのが私の願いであり、「ここならそうなれる!」と感じたのが東京女子大学でした。
 大学の4年間は期待を裏切らない素晴らしい日々で、とりわけ「女性学」との出会いは私の人生の礎となっています。「性別関係なく、自分らしく生きて良いのだ」というメッセージをくれた女性学「そのような社会を実現したい」という想いが、その後の研究、活動のエンジンとなっています。

 卒業後はお茶の水女子大学研究生を経て、東京大学大学院にて博士(教育学)を取得。その後、10年近く大学の専任講師として教鞭をとりました。そこでは多くの貴重な経験をさせていただきましたが、体を壊して入院し生死の狭間を彷徨ったことをきっかけに「誰にとっても限りある人生なのだから“自分だからできること”に時間を費やして生きたい」と考えるようになり、鎌倉の子どもたちのために自分ができることをしていこうと決断し、現在に至ります。

 よく周りの方から、「そのバイタリティはどこからくるの?」と驚かれますが、それは東京女子大学で育まれたものです。東京女子大学にはバイタリティにあふれ、自分らしく生きているロールモデルがたくさんいらっしゃいました。その方々に憧れ、励まされ、近付こうとする中で、いつしかそれが自らの生き方にもなっていったのだと感じています。この「人生に対する姿勢」を手に入れられたことは私にとって大きな宝です。次の100年もこの大切な宝を多くの女性たちが手にして下さることを願っています。