産業カウンセラー
キャリアコンサルタント(国家資格)

1978年
社会学科卒業

 

まだまだ修行中の身です

 

「プランドハップンスタンス」
日本語訳ではそのままズバリ、「計画された偶発性」とは、スタンフォード大学、ジョン・D・クランボルツ教授の有名なキャリア理論です。

それまで私が学習したキャリア理論では、「キャリアとは、自分の興味、適正、能力、環境などを分析し、将来のプランをたてれば、そこにいきつくまでのステップが明確になる」というようものが主流でしたが、クランボルツによれば、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」というのです。

 

だからといって、ただぼんやりと口を開けてことを待てばよいというわけではなく、日ごろから「好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心」を持つように心がけることで、偶然を自身のキャリアに活かすことができるというのがその論旨と理解しています。

キャリアコンサルタントの勉強を本格的に始めて間もない50歳のころ、この理論を知った私は、自分の半生は、まさにこのプランドハップンスタンスの連続であったことを認識することになりました。

 

大学時代は演劇やロックバンドの活動に明け暮れ、就職活動もまじめに取り組むことなく、卒業後は秘書的な仕事でお茶を濁していた私でしたが、20代後半で元々興味のあった広告の仕事を始めることを決め、コピーライターになる! と周囲に宣言し、養成講座に通い始めました。

ある方の紹介で制作プロダクションに入り、人づてにどんどん仕事がふえてゆき、遂にフリーランスとして活動することになったという経緯があります。(駆け足の説明お許しください)

 

その後、結婚して子どもが生まれてしばらくは専業主婦も経験しましたが、下の子どもが幼稚園に入るころ、再びライターとして活動を始めました。

さまざまな著名人に会い、取材を重ねていくうち、世に出る人たちは、何か挑戦するチャンスがあったら、リスクがあっても進むことを選んできた人たちなのだということを知りました。

そこから人の生き様、キャリアに興味を持ち、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、2級キャリアコンサルティング技能士と資格を取得し、同時に、就労支援の場でコンサルタントして、さまざまな相談に応じる仕事に就きました。

昨年は民間企業の新事業にマネージャーとしてお誘いを受け、事業立ち上げを見届け、再び、就労支援の現場に戻っています。

 

こうしてみると、まさに、出会った人や出来事と自身の好奇心、冒険心とのからみにより、自分では思ってもみなかった地図にないキャリアを描いてきたわけですが、私自身の最大のハップンスタンスといえば、大学入学後のクラス担当が社会学科の鎌田とし子先生だったことかもしれません。

鋭い目と、ことば、その印象に反するなんとも温かい人柄。なぜか、英文科志望だった自分が社会学科に進み、4年生の卒論まで先生にはお世話になったことや、鬼のように妥協を許さない現場主義の調査実施を体験したことなど、まさに偉大なる偶発性であったことは間違いありません。

 

あるキャリア論の先生は、
「棚から牡丹餅というけど、牡丹餅に当たるためには、棚の下まで歩いて行かなきゃならないんですよ」とおしゃっています。

どんなに素晴らしい環境に置かれても、ただ口を開けて待っていては何も始まりません。

私はすでに60代となりましたが、現在もフルタイムでキャリアコンサルタントとして働いています。いつでも牡丹餅に食らいつけるように、心身共に鍛え続けると同時に、いつか自分自身も牡丹餅をお渡しできる時まで、恩師の姿をずっと遠くに見ながら、私の修行はまだまだ続くのであります。