ロイターNY ジャーナリスト
メトロポリタン美術館解説員

 

1997年    現代文化学部 
     地域文化学科卒業

 

 結婚を期にニューヨークに来て早8年、今では子育てと仕事と時にはボランティア活動と、地下鉄定期券を駆使して、マンハッタン内を走り回る日々を送っています。
 高校時代、アメリカのインディアナ州に交換留学生として1年間過ごし、帰国後もアメリカについてさらに学びたいと東京女子大現代文化学部に入学しました。そして現在アメリカで生活、何かの縁を感じずにはいられません。

 私は現在 ロイター・ニューヨークでジャーナリストとして勤務しています。世界経済の中心であるニューヨーク株式市場や外国為替市場の動きをタイムズスクウェアにあるロイターのスタジオやナスダックスタジオからTBSの番組に生中継でレポートしています。
 仕事の内容を説明すると日本では「アナウンサー」や「レポーター」と定義されることが多いのですが、アメリカではあえて「ジャーナリスト」「アンカー」と呼びます。それは自分で取材をし原稿を書き、自分の言葉で伝えるからです。

 大学を卒業して数年後、フリーアナウンサーの職を得ましたが、原稿や衣装が用意され画面に出てニュースを読むだけの仕事に違和感を感じ、1年後に、当時日本に進出したばかりの外資系金融経済情報会社に転職しました。
 ここで「アンカー」としてのキャリアが始まります。原稿を書き、ニュースを読み、そして東京の金融市場の動きを生放送でレポートする、取材のアポイントを取り、企業経営者やアナリストへのインタビューの際は送迎車の手配まで担当しました。取材先でカメラマンがいなければ自分でカメラを回したことも数え切れません。 

 その後ニューヨークに拠点を移し、ロイターという情報機関に就職をし今に至ります。政治経済の動きが早くダイナミックなニューヨーク、トランプ大統領のツイッターの一言で金融市場の雰囲気ががらりと変わったり、アマゾンやアップルなどの新製品、新サービスの発表で株価が大きく動きます。その大きな動きを生で見てレポートできるのは、この仕事の醍醐味です。また 私が日本のTBSの番組に出演しているように、同僚たちの中には中国やトルコなどの番組に出演していて、ニューヨークにいながらも世界が何を注目しているのかを感じることができ、好奇心おう盛な私にはぴったりな仕事だと感じています。

 またロイターでの仕事の他にライフワークとしてメトロポリタン美術館にてドーセント=美術品を紹介する解説員として月に1、2度ボランティアでツアーを行っていて8年がたちました。美術が好きな父と母の影響から、ニューヨークに来る以前から話題の展覧会や美術館には足繁く通っていたこともあり、メトロポリタン美術館に通える事は何よりの喜びです。
 他のニューヨークの美術館は、芸術系の修士号を所有しなければ応募すら出来ませんが、メトロポリタン美術館は面接を受け、その後1年間のトレーニングを受講し、オーディションに合格すれば解説員になれるという仕組みです。
 現在私のツアーは日本語で行っておりますが、トレーニング自体は英語で行われ毎週のようにメット(The Met)が誇るキュレーターの方々の講義を聞き、リサーチをしてレポートを書き、英語でのプレゼンテーションにチャレンジした日々は、当時こそ胃が痛くなるほどのプレッシャーを感じていましたが、今ではキラキラと光る宝石のような思い出です。先日 ニューヨークでの東京女子大100周年記念祝典に合わせて日本からいらした先輩方をご案内した際は、ドーセントになり心から幸せだと感じました。

 ふとみれば、私の現在取り組んでいることは、カメラの前で話す、美術品を紹介するなど一見華やかにみえます。しかし何を伝えたら良いのか、どのようにしたらうまく伝わるのか、そのためには実際に人前に立つ何倍もの時間をかけてリサーチやトレーニング、準備を行っています。そしてその地道な仕事自体が実に楽しいのです。
 もしかしたらこれが東京女子大の信念、らしさにつながっているのではないかと感じるようになりました。物事の上辺だけでなく、本質を追求することの大切さを大学で自然に学んだように思うのです。 
 現在、東京女子大の先輩方とお話しする機会をいただきますが、皆さん人間的な”品”を持っていらっしゃる方々ばかりです。外見や職業や持ち物など簡単に人を図れるものではなく、物事の本質に敏感で自分の心の声に誠実で、清々しく生きていらっしゃいます。これこそが東京女子大が誇るSomething” なのだと心が震える思いです。 その東京女子大学が100周年、卒業生であることを改めて誇りに思い、胸を張ってこれからも歩いていこうと思います。